人の世にすまう人ならざるもの、狼男とヴァンパイア。長い時を生きるヴァンパイアと、人と変わらぬ時を生きる狼男。種族の本能と、人間の欲望を描いた物語。 ※ほんのりBL要素と思われる描写があります。苦手な方ご注意願います。
世界が終わり、わずかな命が残された。 一つずつ隔てられたドームの中で、それぞれは関わることなく、ただ“生きて”いる。 彼らを守るのは、感情を持たない人工生命体。 紡がれるだけの記録はいつしか、織り重なり静かに涌き出でる……せつなゆたうはざまへと。
復讐に囚われた十四歳の少年・炭咲。両腕を木炭に変えられ、炎を操る異能を得た彼の前に現れた少女。「パパ」と呼びかける彼女もまた、捨てられた子供だった。炭咲は彼女に「ステラ」(捨てられた子という意味)と名付ける。 製薬会社の重役・各務アリマとの七日間の契約を通じて、三人は束の間の家族となる。しかし、真の絆が芽生えた時、悲劇が彼らを襲う。 血のつながりを超えた家族愛、失うことの痛み、そして再生への希望。現代社会に生きる私たちが抱える孤独感と、人とのつながりの大切さを描いた現代心理小説。 炭を操る能力や神の存在といった幻想的な要素は、登場人物の心理状態を象徴的に表現する装置として機能し、文学的な深みと現代的な感覚を併せ持つ作品です。
昭和初期、因習にまみれた閉鎖的な田舎で、決して交わることを許されない因縁の家同士の男女が恋に落ちる。村中が常に監視しているような息苦しい毎日。二人は打ち捨てられた神社の社の中で逢瀬を繰り返す。誰の目も気にせず二人になれる場所はそこしかなかった。やがて娘は子どもを身籠り二人は村を捨てようとするが、それを阻んだのは娘を憎む母親だった。