真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter3
真凛のオフィスの様子が、わかります・・!
下北真凛、今、過呼吸になるくらい息があがってきたのだ・・。
その理由は、一緒にいる4歳年下の中本愛華(なかもと あいか)である。
どうも、容姿にコンプレックスがあり男性にもてないらしく、努力もしないので、男性遍歴がヤバいみたいである。
だれかが一緒の時や、顧客が居るときは平然として営業スマイルをしている愛華だが、、真凛とふたりきりになると、、「弾丸で嫌味が飛んでくる」。
わあ、助けてーー!
まるで、短大生の時に読んでいた、少女漫画の世界のようだ。
真凛「あ、、今、お茶いれてきます・・」
その時、タナちゃん’(真凛は、上司の田中さんを好意を込めて、こう呼んでいる)
が部屋に入ってきたのだ。
田中「あれ・・?顧客の丸岡さん、まだ来てない?
ふたりとも良く働いているね。、適当に休憩してね」
タナちゃんはさすが中年の余裕で、物腰も柔らかく社員にも厳しくしたりしないのだ。
真凛は、何と言っても「権力を振りかざす人」が超苦手。
愛華「ええ、田中さんも一緒に、お茶でもどうぞ」
なんと、愛華は態度を180度変えて、男には媚びを売るタイプということが一目瞭然である。はあ・・ 。真凛は、自分の席で深くため息をつくのだ。
ここのオフィスは3時ころになると、タナちゃんのはからいで美味しい和菓子や、ケーキを用意していてくれるのだ。
面接の時に、真凛の顔を見て「何でも、食べていいからね、」
と、まるで子供に言うように、タナちゃんは言ってくれたのだ。
ここで、突然、3人で恋愛の話になってしまった。
竹林堂の和菓子を食べながら、、タナちゃんが「自分と奥さんの馴れ初め」とかを社員の私たちに、話してきたのだ。
この気難しいムードを和ませようという、タナちゃんの粋な考えなのだろうか・・・。
田中「まあま、ウチの奥さんは美人だったからモテたんだけど、俺もサークル内で、一番に
たくさんの女性から声がかかったんだよ!」
愛華「わあ、、田中さん、プレイボーイみたいね、」
真凛「ふふ。。奥さんを見てみたいですよ」
黙っているのもなんだから、真凛も会話に参加してみる。
愛華「そういえば、下北さんはどうなの?独身でしょ・・??」
真凛「ええ、あまりカッコ良くないですが、一応彼氏はいるんですよ、
本当に、相撲が好きで、いっつも力士の話をしてくるんですーー。」
ウソをつくのもなんだか、と思い、自虐ネタっぽく話してみたのだ。
ここで、真凛は、ちょっと考えて愛華に振ってみたのだ。
真凛「ねえ、愛華さんは・・?今は、お付き合いとか?」
そこで、しばし沈黙が・・。
気が付いてみると、タナちゃんが困ったような表情で真凛に目くばせをしている。
『ま、まずい・・ 墓穴を掘ったかしら」
それまで、タナちゃんと歓談していた愛華さんは、ふと立ち上がり部屋を出ていったのだ。
真凛「変なことを言っちゃいましたか?愛華さんて、彼氏が居るみたいに見えたから」
田中「ふむ、まあ、仕事ができる女性なんだが、どうも容姿にコンプレックスがあるんだ」
田中「あと付き合い始めると、彼氏依存でダメになっちゃみたいだな。まあ、気にするな」
こんなことなら聞かなきゃよかった、と後悔する真凛だが、もうすでに遅し・・・。
夜はひさびさに・・彼氏の智哉との居酒屋デート。
あいかわらず、デートなのに智哉ったらこの前の相撲のテレビ観戦のことを、嬉しそうに話してばかり。
真凛の心の声『と、智哉、そんなの聞きたくないぞ』
そう言いたいのを押さえて、真凛はビール生ジョッキを飲んで冷ややっこをつまむのだ。
そのとき、ふと真凛の脳内には、、今ごろ、両親といる愛華のことが思いだされた。
(ふむふむ、愛華さんって、ちょっと寂しげよね、
笑わせてくれる彼氏がいないもんね。。。)
いつも真凛にきつく当たってくる愛華の、ちょっとした「ほころび」を見てしまったようで、反対に、かわいそうになってきたのだ・・・。
それにしても、真凛のビールが半分も進んだのに、あいかわらず智哉は相撲の力士の話題で、顔を紅潮させているのだ。
『智哉って、、、かわいいなーー。』
真凛は次の焼き鳥を食べながら、にっとほほえんだ・・。
次の日、オフィスに行くと、いつも早朝から来ている愛華さんの姿が見えない。
真凛「はあ、ほっとするな、いつも先に来ていて、プレッシャーをかけられているみたいだも のね。チョコでも、つまんんじゃおう」
「ん、、んん、」
その時・・・まさに子犬が困っているかのようなちょと弱々しい声が、1メートル先のデスクのほうから聞こえてくるのだ!
なんと、タナちゃんがデスクの下にうずくまり、顔面蒼白で「た、たのむ・・!?」と真凛に手を出してくるのだ。
いつも、優しくて社員思いのタナちゃんが・・?!
ピンチになった真凛はどうしていいのかわからず、タナちゃんの手を握るしかなかった。
真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter3