真空の比喩 94

抽象的な祈りは消し飛べ
やがて落ちる雷を前にすれば
それは単なる避雷針さ

消し飛ぶためにこそそれは
高々とそびえたて

雷はどこかに落ちる
そのどこかにいずれ落ち

ぼくに… こっぱみじん

―終幕―



ぼくは死にました
って、これをこそぼくは
抽象的に祈っていた
んだって
稲妻のように明らかになる
自分の思惑を超えて雷は
勝手に落ちやがる

真空の比喩 94

真空の比喩 94

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted