若かりし頃は

晩秋の夕暮れに――

若かりし頃は

心の内に咲く花も、

心の内に鳴る鐘も、

不滅なのだと信じて居た。


それが今では、

心の内にあっても、

花は枯れ、散り、

鐘は錆び、落ちると知った。


もはや心の内では、

何も咲かず、何も鳴らない。

両の眼には、何の彩りも、

両の耳には、何の響きも、

もたらされない。


もはや、もはや。

若かりし頃は

若かりし頃は

心の内に咲く花も、 心の内に鳴る鐘も、 不滅なのだと信じて居た。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-11-30

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