愛は死因
愛する人を殺せるか、という問いが
脳内で谺して消えない
それはどう換言できるだろうか
殺したいほど愛している人がいるか 違う
愛する人の頼みなら何でも受け入れるか 違う
愛する人を殺せるか、という問いは
何か切実なことを前提にしているはずだ
愛とはその方法次第で
人の命を奪うことのできるものだと
愛の本質はそこにあるのだと
そんな了解を前提にしているのではなかったか
愛する人を殺せるか、それは
人の命を奪うほどの愛は倒錯していると言えるか
という問いに換言できるはずだ
そしてその問いは最初から破綻している
なぜなら倒錯していない愛などないからだ
愛する人を殺せるか、ではない
人は愛によって死んでしまうか、である
愛は死因