短歌集/秋の言の葉
年相応に、秋をテーマに歌を作りましょうか。
【まずは古典風から】
人力車 勢子の黒字の背中にも
落ちずに掛るその紅き葉を撮る
人去りて ただ鵯の鳴く錦繍の
古寺に佇めば 秋ぞ身に染む
穢れ無き 仏の歩みか秋風に
舞えど錦の庭に跡なく
弥陀曰く 地蔵は良しや寒けれど
錦繍の衣に深く包まれ
大銀杏 周りの楓を従えて
主が如くに輝き立ちたり
茜さす 椛葉籠れる古寺の庭
箒を片手に庵主待ちたり
椛葉の紅く染めにし境内の
画像を示す白き指先
白き頬に 紅き椛の影落とす
君微笑めば 夕日きらめき
さらさらと袖を撫で行く椛葉の
その先を行く黒髪追いて
織姫の 行方求めて錦秋の
山立ち入れば夕日沈めり
(2025/11/28)
鮮やかな 錦を脱ぎ捨て綿衣
燃ゆるその身はいつしか雪肌
われ恋ゆる 覚悟はありや燃ゆる身の
下には凍る白き雪肌
燃ゆる葉も いずれは朽ちて雪の下
我もこの身を雪の真綿で
次々と 季節の絵師は鮮やかに
見慣れし木々に色を添えゆき
何処までも 錦織りなす木々の葉に
車も速度を緩めるかに見ゆ
秋深き 旅行く友は山の派の
景色を眺めて飯を食うかも
暮れゆきて 鵯の鳴き声寂しくも
散りゆく木の葉は紅に燃ゆ
天高く 雲一つなき青空を
仰いで駆け行く数万の人々
イワシ雲 子供の写真を観し後に
老婆は足しにと 紙幣を差し出し
チャリティに参加させてと その乙女
笑顔で髪を 秋風に委ね
尾根走る 唐紅に燃ゆる帯
かつては修験の通り道とか
暮れ急ぐ 夕日に負けじと幼子は
家路を目指し駆けて消えゆく
寒風に カラスの群れの鳴き騒ぎ
人世の乱れを嘲笑うかの如くに
酷暑ゆえに 狩り損ねたる 門の木の
籠れる枝は雀の宿に
友集う 話題は日々の体調か
それもそのはず仰げば秋空
ふと見れば 風吹かぬのに枯葉舞う
目まいのせいと気づく杖道
これが最後かもと老友は
言いつつ旅のスケジュールを練る
日向は暑し 日陰は寒し
友は忙しく椅子を動かし
人々の 笑顔に幾度も会いし今日
体調も戻りて そっと門を閉じる
紅に 燃ゆる椛を見る度に
湿る老い身を 如何にせんやと
奥嵯峨の 椛籠れる隠れ寺
栄華の昔を偲ぶ日々かな
夕暮れの椛葉そよぐ秋風に
頬を伝う涙の冷たさ
🌰今日はこれくらいに、また明日。(いずみ)
短歌集/秋の言の葉