大阪での短歌

大阪での短歌

(四天王寺、今宮戎神社)
雨降りの中を歩きし天王寺 門を閉ざしし庭ぞゆかしき

斑鳩の聖徳太子とともに見し景色をほとけ語らせたまへ

地響きのすごきに鳴らぬ大鐘に時代の声を聞く英霊堂

今宮のゑびすに文芸上達を祈りて雨をホテルにいそぐ

(万博)
抽選のすべて外れし万博もそぞろ歩けば楽しきものなり

大屋根の下の日陰をぐるぐると歩きて長蛇の列の人見る

一言のセリフも分からぬ劇を見てお囃子と似るものを見つける

知らぬ国の旗をもらったりバオバブのジュースを飲んだりフォーを食べたり

(万博記念公園」)
太陽の塔が木々に囲まれるのも面白いと想像をする(だって大屋根あったんだから)

太陽の塔から出るとあれほどの生命(いのち)が動かぬことが不思議だ

海外の旅行も食事もめずらしき時代(とき)の万博さぞや楽しき

疲れ果てアスレチックをあきらめし私の体ベンチの置き物

(海遊館)
名も知らぬ魚になりて水槽を泳いでいたし何も思わず

ジンベエはでっかいだけであれほどの人気じゃないんだつぶらな瞳だ

人の顔見分けるというミズダコは水槽のすみ縮みうつむく

今ごろはホテルのビュッフェでもう一つパンをもらうか悩んでいたのに

大阪での短歌

大阪での短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-17

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