『言葉で殺すのが上手い人』

キラーフレーズの連発に
すっかりのぼせ上がったその後


『言葉で殺すのが上手い人』


どこで落とすべきかちゃんと
頭で理解しているから
何度躓いても引っかかってしまう
狡いくらいの洞察力ね

きっと引っかかったアタシが悪いの
だけど恨み言くらい言わせて
賢い貴方なら分かるはず
少しの不満くらい聞くべきよ

持ち上げて突き落として
それでも更に深い場所があると
何度でも貴方はその舌で落とす
飽きもせずどこまでも甘く冷たい声

貴方が操る言葉に服従して
出会った日からずっとアタシ
嬉し涙と悔し涙の繰り返し
それでも離れようとは思えない

もしもアタシのものになるのなら
その時は素振りも見せないで
今と同じように嘲笑ってほしい
だってそれこそが貴方

饒舌な夜を超えて静まり返った朝に
貴方が告げる言葉だけを信じて
それを頼りに生きることだって
アタシなら無理せずこなせるの

何度殺されても甘言に惑わされる
アタシじゃなくちゃ貴方だって
もう満足できないんでしょう?
欲望に忠実な唇と舌に乾杯



「標的はいつだってアタシにして」

『言葉で殺すのが上手い人』

『言葉で殺すのが上手い人』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-08

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