ある日蓋をした
もう二度と出てこないように
二度と同じことにならないように

蓋は便利なものだ
見えなくなるし
嫌なものを閉じ込められる

蓋はきっちり閉める
動かないところまで
誰にも開かせないように

そして深く深く
ずっと奥にしまいこむ
誰にも触れられない場所に 


かなり時が経って
すっかり中身を忘れた頃
蓋を開けることになる

その中には
たいしたものは入っていない

するとまた
別の物を詰める
蓋をする
しっかりと蓋をする

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-11-29

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