そういえば初めての男は父親だった。主体性がない、そうよく言われる。自分の意思を伝えないで、人に流されてばかりだから、きっとエイズにかかったのだ。頼まれると嫌といえない。客の要求するプレイはどんどんエスカレートしていく。私は嫌と言えない。言いたいのかもわからない。私はすずめのように群衆に紛れて、生きている。
大学はほぼ休学状態。夕方から四時間のアルバイトだけをして日々を送る山岡。夢のような過去の出来事が思い返される試験管のような生活。世界の趨勢は彼の知るよしもなく推移している。そんなある日唯一の友人寒井からクイズ番組の出演を持ちかけられる。
自殺する若者を救う小説は何かと考えてきました。「神」「存在と無」「生と死」という根源的な問題を考えていた時期です。 この小説を書くことで私は少し救われました。
彼は生まれて間もなく段ボールに入れられ捨てられた。長じて養豚場に就職した彼はやがて暴力で支配するようになった。 或る女子アナウンサーを誘拐して幽閉した。 養豚場に危機が訪れた。