そういえば初めての男は父親だった。主体性がない、そうよく言われる。自分の意思を伝えないで、人に流されてばかりだから、きっとエイズにかかったのだ。頼まれると嫌といえない。客の要求するプレイはどんどんエスカレートしていく。私は嫌と言えない。言いたいのかもわからない。私はすずめのように群衆に紛れて、生きている。
大学はほぼ休学状態。夕方から四時間のアルバイトだけをして日々を送る山岡。夢のような過去の出来事が思い返される試験管のような生活。世界の趨勢は彼の知るよしもなく推移している。そんなある日唯一の友人寒井からクイズ番組の出演を持ちかけられる。