春の暖かさを感じる夜の神社で「それ」は「墨丸」を見つける。 ただ風が通り過ぎるだけの境内で、彼らはぽつぽつと語り合う。 話していく中で彼らは怒り、悲しみ、慈しみ、共感し、解放する。 神社に囚われている「それ」とは何か。死に場所を探しに来たと言う「墨丸」の過去とは。 夜の神社×人外の和風哲学奇譚。
既にその時は来ていた… 革命に奔走する主人公タカナシ。 一人怪しい行動をする同志カワサキ。 辿り着いた先に待つものとは。 SFショートショート。
遥か、高い空の上にいては、少し下を神と呼ばれる者が通りかかった。我は彼の者に、ヴァルナに己の主な罪を尋ねた水夫のような謙遜で問う。 「私の人生に意味はあるのですか?」 すると、神はこう答えた。 「人と神とは異なる道を歩く。それ故に……」 この先をいつも思い出せない。神はあの後、なんて言ったのか? きっと、それを思い出すことは赦されないことなのだろう。だから私は無知蒙昧の牢に囚われながら、生きる歓びを噛みしめるのかもしれない。