刹那

刹那

黒く透き通った水面に夜が映る
川の向こうでは 喧騒がおきているらしい
真朱橙黄色確かにここで光る
君は隣りに居て 戦争の記憶を語りだす


冷たい風が目にしみて
あっという間に時が過ぎた
二人は 水に流されたのか 満たされたのか
ぬかるみ足が汚れても
洗えばいつものようになり
二人の 声も形も全て 忘れてしまう


君が語る 私が話す
君が歩く 私が踊る
眠っても訪れない観覧車の頂上
君が乗る 電車が動く
君は遠く 私は老いる
写真を撮り直して失ったあの言葉


今では
足跡を辿り
夜に佇み
思い耽り
本当は 水でさえも仕留めようとしているのだ

刹那

刹那

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-01-03

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