映画『チェンソーマン レゼ編』レビュー

 『チェンソーマン』らしくないレゼとのドラマチックな出会い。まるで映画みたい、と呟きたくなるぐらい素敵に深まっていく展開の呼び水となっていたのがまたデンジとマキマさんの映画デートだったという構成が『チェンソーマン』らしく、しかもそこで語られていたのが殺伐とした非日常に生きる者こそ何気ない「日常」に感動するという逆説で、それがデンジがレゼに惹かれる理由となり、一方でレゼがデンジに対してできた事としたかった事を引き裂く決定的な原因となっていた。泳ぎ方、というキーポイントも「日常」と非日常の狭間でもがく彼らを暗示していて、チェンソーの鎖を巻き付けた格好で二人とも海の底まで沈んでいくという決着が普通じゃない悪魔に相応しくないほどに静かな終わりで、酷く切なかった。あれだけ派手に街を破壊して、大勢の人を巻き添えにして、血で血を洗う惨劇を繰り広げたというのに。どこまでも綺麗で、狂おしかった。
 ラストカットも印象的。欲望丸出しで、内から湧き上がるあらゆる欲に少しも抗わないデンジがレゼに贈ろうと手にしたもの。それを自分で食べて、食べて、食べるラストにどこまでも引いていくカメラワーク。その途中でブツっと切れる映像。あとに残るのは、さっきまで本編を映していたスクリーンの物的な存在感。ざわざわし出す劇場内の興奮した雰囲気。映画=非日常の終焉。チェンソー×シャークというビジュアル的にめちゃくちゃな組み合わせも、ハリウッドの看板を叩いて暴れ回る映画ラバーな演出で最高だった…。どうせなら楽しむならと思いIMAXで鑑賞したのですが、自慢のハイクオリティな映像×音響システムがゲロ吐きそうになるぐらいアーティスティックでど派手な殺し合い、ボム、ボム、ボムで弾け飛ぶTHE『チェンソーマン』なエフェクトをクソほど体感できる圧倒的な最恐バトルとして大画面に映し出しまくり。劇場版ならではの面白さをたっぷりと味わえました。いやぁむちゃくちゃ面白かったです、レゼ編。大・満・足!

映画『チェンソーマン レゼ編』レビュー

映画『チェンソーマン レゼ編』レビュー

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-25

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