《凪ぐゆらぐ》ー小連作短歌ー

濡れ濡つつ襟みだれ ざわめく下駄箱あさ顔かをれる


マエストロ見当たらなくて譜面台 先輩風に髪を吹かれて


尾ひれ振り背びれ伸ばして階段を泳ぐ私に見惚れる噂


野晒しの場所に集いし傘たちが喫みだす社会 灰叩くせんせい


テスト前占う天気雨みたく手にもつ上履き ありをりはべり


まんまるな月に日和れば落ついいえ パピコ好きずき二つに割れて


次々と引っ付く頁ぼやく図書係の手から絵本は渡り


コンコンと叩ける扉失礼して吠えず中原中也を借りたく


可動域刈り上げ頭のふるいいえ火のない所煙らす吐息


尖りなき月に日和れば凪ぐいいえ 見ゆるプールの透かしにゆらぐ

《凪ぐゆらぐ》ー小連作短歌ー

《凪ぐゆらぐ》ー小連作短歌ー

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-21

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