未確認用語集 9
・朝知らず(あさしらず) 寝すぎると却って眠たいこと、その人
「朝知らずには最早ずっと寝ておいてもらはう。程よい睡眠でないと人は寝心地を感じられない。その苦しみを味ははせるのだ!」
・憂さ配り(うさくばり) 朝の駅前でみんなに嫌はれたさうにビラ配りする人たち、その行為
「ああ今日の朝も心知れずに憂さ配り。逆に嫌はれるかも知れないことをわかって敢てやってるのならそれはもう、数打ちゃ当るっていふ詐欺師の手法と何も変らない」
・廻送運転(かいそううんてん) 車掌さん?による少し手を抜いた車内放送
「ああ本日も廻送運転ですか。そりゃいつも同じセリフを言はないといけないって地味に心労ですもんね。でもそれをいいことに面倒さうに喋らないで下さい。みんな誰もしんどいんですから・・・」
・早春子(さすご) 暖かくなったから一足先に出てきてその後すぐの寒気に無事撃沈されるムシたち
「哀れにもきっと短い短い春を想ひ出に早春子たちがゴミに紛れて片づけられてゆく。急いた?急いたのか?お前らのやうなお調子者が呆気なく死ぬなんて、地味に悲しくなってくる」
・小戯機(こぎき) 安価で持ち運べるならまあ良いかも知れない携帯ゲーム機
「思ふに四六時中ゲームをしてるなら小戯機も手にする機会があるんだけども、空いた時間にさてゲームをやってやらうとした時には据ゑ置き機以外はありえない」
・準急ババア 朝8時頃に駅へと急くババア
「いつも似たやうな時間に大通りで前を小走りに通り過ぎてく準急ババアは矢鱈と急いて居るが、そんなに急くなら少しでも早く出たら良からうに」
・信得率(しんとくりつ) SNS上での支持率や評価
「信得率が高いだけで陰謀論がどうだのと言ふ者が居て不快に感じることもあらうものの、確かに本当に軽薄な陰謀論を本気で唱へる信じられないくらゐ馬鹿な人も居るもんだから」
・大草(だいそう) 茎の中身スッカスカの儘めっちゃ大きく育ってるやっすい雑草
「根無し草とはよく言ひますがゴミ置き場の蛇口の物陰から大躍進を見せる大草!恥づかしげもなく中身も無いその逞しさに地球の神秘を感じては居られない!!」
・竹豆腐(たけどうふ) ちょっとの地震でペシャンコになる某国企業の巨大ビル
「あの竹豆腐こそ大陸数千年?の歴史が織りなす技といふものか。建てるのも、無かったことにするのも簡単で極めて素早い。流石だ。誰にも真似できない」
・爺父世代(ぢいぷせだい) 戦後のアメリカ世代
「何時ぞやの911テロを速報で伝へるラジオの動画で如何にも爺父世代らしいアナウンサーが攻撃を特攻隊に準へて居た。さっき視聴者から然ういふ投稿が来てすぐに強く否定して居た番組主の西川さんはアナウンサーの言葉に言葉を失ったのだった」
・ツ婆(つばあ) ユーチューブにこのごろ目覚めたか元から目覚めてるババア
「電車の中で60代以上のツ婆たちがツベのオススメ機能について然も常識かのやうに頷き合って居た。ここまで来たか。遂にそこらへんの何でもないババアどもが何気ない話で然ういふことを囁くやうになった」
・鉄の神(てつのしん) 明るい制服で確認の「ヨシ!」をしたいだけの駅のバイトたち
「鉄の神は身のこなしが軽薄なのも然る事ながら男女で平気で立ち話をしてケラケラしてることもある。ああ有難や、目に焼きつけん」
・根民(ねたみ) いちいち誰かを不快にさせる書き込みをする人
「犯罪者は社会が生み出した、と必ずしも言へるわけではない。根民を見てみろ。あそこまで滑稽で無意味で悪趣味な存在を見て居ると結局は本人の資質によるものである」
・ババの壁 路地で人の邪魔にならうがお構ひなしの井戸端ババア
「ババの壁は何も昔にばかり建てられたわけではない。ほら学校帰りの自販機の前にも最近できた壁がキンキン言って反り立って居よう」
・守主(もりぬし) 家の内に外に植栽を張り巡らせてる人
「ちょっとだけ守主には憧れたりもするんだけれど、掃除も大変で手入も繁雑でそれに尚且つすんごいムシ来る。ええんやけどな、モンハンの森マップみたいで」
・遊戯分限(ゆうぎぶんげん) やるには楽しいが観るには退屈な競技
「野球ほど遊戯分限なスポーツもない。みんな間延びした心をごまかしながら観戦し、然うでない人は食べるか飲むかして丸で野球とは関係のないことをしながら観てる。どこへ打っても走る場所は決まってる。こんな退屈なことはない」
・丘庭(をかには) 河川敷とその雰囲気
「丘庭を愛でて愛でられ心のやり場をそれとなく探す。ただ然うした人の行き着く先は、あの橋の下の家なき民に他ならなかった」
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