若き日の恋物語 2
運命の出会い
東京でもそれは慣れているが、本当に周りは女性だらけ。通路を挟んで真向かいは和菓子売り場に隣は惣菜店とさまざまだ。自分が所属する店以外の人に挨拶しておかなくてはならない。俺は正面と両隣の店にあいさつに廻った。
「今日からこちらに配属になりました坂本と申します。東京から来ました。宜しくお願いします」
「まぁ東京からですか、いいなぁ」
それが彼女の最初の言葉だった。そんなに東京がいいのかと不思議に思った。
しばらくして前の売り場で先程挨拶した彼女と目が合った。それはいつも目の前にいれば自然に合うのも当然だが、なぜかドキリとした。いや電流が流れるような感覚に襲われた。一人の女性と視線が合った瞬間の事だった。処が向こうも同じような感触を感じたのだろうか。挨拶した時は緊張したせいもあり余り顔を見て居ないが改めて見ると好みの女性だ。
東京でも周りは女性だらけ慣れてはいるが、こんな新鮮な感覚は初めてだ。だがそれは相手も同じだったようだ。
二人は視線を合わせたまま凍りついたような感覚に襲われた。まさに電撃的な恋の感触。
二人には運命的な出会いではないかと、導いてくれた神に感謝したいくらいだった。
挨拶したばかりだが軽く会釈を交す。相手も同じように笑顔で返してくれた。
だからと言って周りの目がある。『なに? あの二人早くも出来ているんじゃないの』そう言われかねない。なにせ女の職場は嫉妬で溢れている。だからその場は互いにさらりと交した。
若き日の恋物語 2