あなたと千日紅
#1
「私のこと覚えてる?」涙しながら私はあなたに聞いた。あなたはきっと覚えていないよね。だから思い出話をしよう。あなたとの190日の思い出を。
#2
私は初めてあなたに会った時、あなたのこと怖そうだなって思ったの。でも、あなたはすごく優しくて笑顔が可愛らしかった。あなたには兄弟がいなかったから少しわがままなところもあったけどそんなあなたにすぐ惹かれたのを覚えてる。
あなたはとにかくバスケが好きだった。そして私はあなたが楽しそうにバスケをしてる姿や一生懸命にバスケの良さを伝えてくれるところが大好きだった。本当に幸せだった。
私があなたに告白したあのなんでもない木曜日。
「好きです!」は言えたのに「付き合ってください」って言えなかった私に、
「俺も好きだよ」って優しく微笑んで頭を撫でてくれたよね。本当に嬉しかった。
私が、『いいお嫁さんになるなぁ』って知人に言われたことを報告すると嬉しそうに
「今から婚姻届出しに行くか!」って言ってくれた。プロポーズかな?って思ったけど恥ずかしくってそのまま話題変えたよね。ちゃんと嬉しがればよかったなぁ。
私ね、すごく変わったよ。あなたに
「友達に戻ろう」って振られた時今までにないくらいショックですごく泣いたの。あなたとは一生一緒にいる未来が見えていたからすごく悲しかった。あなたは別れた次の日、私に今まで通りの優しさで接してくれたよね。でも私には無理だったの。今まで一緒にいたのにそれが一生続くって思っていたから、それができないと思った瞬間、今まで通りなんて無理だった。そこから仲悪くなって私、自分のしたいことがよくわからなくなってた。あの時は本当にごめんね。
#3
でもね、今すごく幸せなの。あなたと一緒にいられないことにショックを受けて自暴自棄になった時もあった。ごめんなさい。重たいよね。でも、そんな私でも受け入れてくれる人に出会ったの。私のお腹にね、今新しい命が宿っているの。名前はどうしようかな、とか考える日が私にも来たんだなって、、びっくりだよね。
だから私の事忘れてね、、なんて言うとでも思った?私のことを知ってるあなたなら私の性格くらいわかっているはず。たまには私のこと思い出して、「あんな素敵な人もいたな」って感傷に浸ってね。
私は今世来世とかあると思ってるの。
だからね。来世ではあなたと一緒がいいな。
一生を添い遂げるのはあなたとがいい。
じゃあ、さようなら。またいつかね。
いつのまにか私は笑えていた。
あなたと千日紅