マスターの相談喫茶4

〔登場人物〕
・小野井 明正(おのいはるまさ/男)…カフェ=リオールの店主
・須賀 隆二(すがりゅうじ/男)…文代の彼氏。コーヒーや紅茶を入れるのが大の得意。
手料理はそこそこ。
・幡多 文代(はたふみよ/女)…須賀の彼女。手料理はピカイチ。
コーヒーや紅茶を入れるのが何故か苦手。
・幡多 玲子(はたれいこ/女)…文代の母で、小野井の大学時代の同級生。旧姓、平松。
・ナレータ(N表記)…女性で、玲子と兼用


〔注意事項〕
①このお話はフィクションです。
②男女2ずつ、合計4人の声劇です。
③玲子役とナレーションは同一人物でお願いいたします。
④言い換えや多少の改変は構いません。大幅な変更は御止めください。

マスターの相談喫茶4

〔登場人物〕
・小野井 明正(おのいはるまさ/男)…カフェ=リオールの店主
・須賀 隆二(すがりゅうじ/男)…文代の彼氏。コーヒーや紅茶を入れるのが大の得意。
手料理はそこそこ。
・幡多 文代(はたふみよ/女)…須賀の彼女。手料理はピカイチ。
コーヒーや紅茶を入れるのが何故か苦手。
・幡多 玲子(はたれいこ/女)…文代の母で、小野井の大学時代の同級生。旧姓、平松。
・ナレータ(N表記)…女性で、玲子と兼用


〔注意事項〕
① このお話はフィクションです。
② 男女2ずつ、合計4人の声劇です。
③ 玲子役とナレーションは同一人物でお願いいたします。
④ 言い換えや多少の改変は構いません。大幅な変更は御止めください。


〔本文〕
N:ここは、カフェ=リオール。マスターとお客様の会話が楽しいこじんまりとした喫茶店。本日は1組のカップルが来店。ですが、どうやら、彼女さんにマスターは何か心当たりがあるようで。


小野井:さぁ、本日も開店です。
いらっしゃいませ。

須賀:ごめんください。

文代:お邪魔します。

小野井:ようこそ、カフェ=リオールへ。

須賀:マスター。確か、ここはコーヒーにかなり力を入れているんですよね?彼女の“幡多”から聞いてます。

文代:須賀さん?苗字呼びはやめてくださいね?今は名前で呼んでほしいです。

小野井:“幡多”ですか…。
どこかで見たことあるような顔だなぁ…。

文代:あのー、マスターさん?どうかしました??

小野井:あ、いやー。その…。
自分の大学時代に顔が似た人物と一緒に活動をしていたことがありまして。

文代さん、でしたっけ?

文代:はい、そうです。

小野井:つかぬことをお伺いしますが、“玲子”という人物を存じていますでしょうか?苗字は、確か幡多ではなかったはずです。

文代:玲子、という方は“私の母”です。大学時代、コーヒーのことを勉強していたとかどうとか。

小野井:その方の旧姓って、“平松”ですか?平松玲子。

文代:えぇ、はい。
お盆と年始に“母の実家”に帰省しますので。

小野井:もし可能であれば、今チャットでお母様に質問してみてください。
“小野井というコーヒーバカの男を知っているか?”と。

文代:かしこまりました。聞いてみます。

小野井:ありがとうございます。

須賀:あ、あのぉー。ぼ、僕のことも忘れないでほしいですぅ~。

小野井:あ!大変申し訳ありません!!
すっかり昔話に花が咲き乱れておりました。

お詫びとして、後ほど何かサービスさせていただきます。

文代:マスター、今日はお願いいたします。
須賀さんも、私の母のことと併せて、マスターのことも聞いてみるといいわ。
マスター。彼も実はあなたと同じくコーヒーのことに対して研究熱心なんです。

小野井:それは嬉しい限りです。是非とも、豆談義させてくださいな。
よろしければ、豆をいくつかご用意いたします。

須賀:それはありがたいです。是非とも!


N:マスターの同級生の娘さんと顔を合わせることとなった今日。片や昔話に、片やコーヒー談義にと今日も大忙しです。


小野井:ご注文はいかがいたしましょうか?

須賀:マスターブラックで。マスター厳選のブレンドということで、お手並み拝見させてください。

文代:私はリオールブルーで。この一杯には、母が関係していると彼から聞きましたので。

須賀:アハハ。昔、全国の個人経営喫茶を回ってコーヒーチェックをしていたんです。父のコーヒー好きで小さいころから飲まされていたんです。それで、

“自分にピッタリの一杯とは何だろう?”

ってことを考えたら我慢できなくて、津々浦々とコーヒー旅をしてきました。

小野井:かしこまりました。

文代:あと、この“ホールスタイル”というドーナツもお願いします。

小野井:かしこまりました。以上でよろしいでしょうか?

須賀:はい。お願いします。


N:コーヒーの用意をする小野井。その姿を須賀は一瞬たりとも逃さまいと観察をし、時にメモを取りレポートを作るかの如く纏(まと)め上げていく。

須賀:その煎り方をするとは。彼はかなり豆を大切にしていますね。豆本来の味がして五感で楽しめると表現したお客様の気持ち、わかります。

文代:今回はドーナツを頼んでみたけど、ディッシュメニューもかなり考えられているわね。コーヒーありきの店って感じもわかる気がするわ。紅茶にも合うのでしょうけど、気合の入り方がそこらへんの喫茶店とは訳(わけ)が違うわね。

小野井:(かなり細かなところまで見られてますね。緊張します。)


N:普段の営業とは違い、念入りに見られている今回はよくあるバラエティのジャッジ企画と似たものを感じ取る小野井。ミスは許されない。


小野井:お待たせしました。リオールブルーとマスターブラックです。ホールスタイルは後ほどお持ちします。

文代:ありがとうございます。

須賀:コーヒーは、まずまずといったところか。

小野井:ホールスタイル、お待たせしました。

文代:ありがとうございます。
それと、母に聞いてみた結果が出ました。

玲子:あぁ、例のコーヒーバカのことね?覚えてるわよ。個人経営のカフェをしているなんて、彼らしいわ。今度遊びに行くから、その時は覚悟しなさい?

文代:だそうです。

小野井:アハハ。相変わらずの彼女でしたね。あぁいう性格なんですよ、昔から。

文代:貴方だけに、かもしれませんよ?

小野井:ま、そういうことで。


須賀:いただきます。

マスターブラック。…なるほど。香りが強く、酸味と言いましょうか?それも強い。但し、広域の強さではなく、深く鋭い強さ。マスターのセレクト、ということもあるのでしょうが、癖の強い味わい。流石は“マスター”の名に相応しい味わい。

文代:私も頂きます。

こちらは、先のとは違って丸みを帯びた味わいです。酸味とかは抑えられてて、

“この店でコーヒーデビューするならこの一杯”

というのが伝わってきます。少しミルクを足すと大衆向けという感じがします。
マスター、ミルク失礼します。

小野井:どうぞ、こちらがリオールブルー専用のミルクです。
テーブルにあるミルクよりもこちらであればより楽しめると思います。

文代:マスター。小さめのカップを御一つ頂けませんか?

小野井:かしこまりました。こちら、ご活用ください。

文代:飲みかけのコーヒーを分けるのはマナー違反ですが、貴方を審判させてください。

分けたほうには卓上のやつを。

小野井:如何でしょうか?

文代:なるほどね。
では、専用ミルクの方は…

小野井:…。

文代:わかりました。

確かに、卓上のはどのコーヒーにも使用可能な、言わば“汎用品”。ですが、こちらには驚くほど合いません。合わなくはないですが、コーヒーの悪しきところが少し目立ってしまいます。
専用ミルクの方は、専用に相応しい味わいで、悪しきところがほぼ完全に消えている。悪しきと思しき箇所を好む方がいるのでブラックコーヒーとして展開しているのでしょう。正解だと思います。

須賀さん。そのコーヒーにこの専用ミルクを少し足していただけませんか?

須賀:はい。

ダメですね。専用ミルクだとこの商品の良さが消えてしまいます。

小野井:(※静かに見つめる)

須賀:汎用ミルクは…。汎用ミルクの方がこちらには合います。専用ではいけませんね。

小野井:(※静かに頷く)


須賀:結果ですが…。

流石はマスターです。損所(そんじょ)そこらのマスターとは違いました。

文代:母があれだけ熱心な男だと言っていた理由がわかりました。素敵なお手前で。

小野井:ありがとうございます。

須賀:そういえばだけど、マスターがどんな人物だったのか文代は知っているんだろ?どんな人物か教えていただけます?

文代:そうね。そろそろ紹介しましょうか。


N:こうして、小野井の大学時代の様子が語られていく。

文代:小野井さんは、農業のことに興味を持っていて、やけにコーヒーに詳しくて“コーヒーマスター”とか言われていたらしいの。でも、あまりにもオタクすぎて“バカ”呼ばわりされたんですって。

玲子:小野井くん。また比較対象しているの?今回は土なんか持ってきたりして。

小野井:豆にあう土壌を調べているんだ。土壌のphレベルをかなり詳細に知りたくて、範囲ではなくピンポイントで“ココ!”っていうのを知りたいんだ。

玲子:豆はいいけれども、土壌に肥料に水と。貴方、将来はコーヒー農家になりたいのかしら?

小野井:できればそうしたいけどね。

あ、そうそう。今度の実地研修で南米縦断ツアーでもやろうかと思っている。

玲子:あなた正気なの?!

小野井:俺はいつでも正気だ。わからないことはとことん追い求めるタイプなんでね。

玲子:ま、私も今回はお供しますけど。

小野井:すまないね。君の場合は教授の助手だったね。

玲子:えぇ、そうね。学会のお手伝いよ。

小野井:学会発表、楽しみにしてるから。


文代:現地に着いたら、完全にイかれたみたい。

小野井:ここの土壌、phレベルが思ったよりも高い。でも、水と肥料の反応でうまく打ち消してこのおいしさになるのか。日本では到底無理そうだな。

あ、ありがとうございます。
ゴクゴク。冷製コーヒーとなると、豆の嫌な感じが消えて更に飲みやすい。気候に合うわけだ。

玲子くん!君も飲むといい。アイスコーヒーの世界観が変わるぞ!!

玲子:うるさいわね、この馬鹿。

ん。(※飲んでみる)
おいしい。確かに、なんか世界が変わった気がする。この味わい、日本で売っているアイスコーヒーとかと比べ物にならない。カフェの物とも比較にならないわ!

小野井:だろ?農園主さん、貴方は素晴らしい仕事をしています。Beautyです!

玲子:コーヒーを愛する者は、農園主をも愛するのね。


文代:だそうです。

小野井:…何だか、恥ずかしいですね。

須賀:マスターは、学生時代からコーヒーを心から愛していたんですね。


小野井:そうなりますね。

須賀:このマスターブラック。これはブレンドなのですか?3種類ほど味がしたので。

小野井:その通りです。ブラジルの豆をベースにし、コスタリカとコロンビアの豆をブレンドしました。採用した豆の国も、それぞれ私の思い出の地でして。私の思い出をこの一杯にまとめました。

須賀:(※拍手)
ブラボーブラボー。これでこそマスターです。

文代:かなりお気に入りですね。

須賀:いやぁ、こんなに思い入れのあるコーヒーがありますか?学生時代の思いを、20,30年以上の時を経て今も味わえるものとして・具現化させているわけですから。

自分は東南アジアとかアフリカとかのエリアがメインなので。味わいも香りも全然違います。

小野井:あの辺りは香りが強いという特徴を持っていますから。
南米エリアは風味がよく味わい深い。東南アジア及びアフリカエリアは香りを中心に力強くインパクトの強い味わい。ですね。

須賀:よくわかってらっしゃる。ビンゴでございます。

文代:確かに、マスターはアフリカよりも南米調査が多いって聞いてます。

小野井:そうですね。調査の9割は南米ですね。あの辺りが私の舌にはジャストだった。

逆に、お母様はそっちの地域が合っていたそうです。

文代:ですね。

小野井:あ、須賀さん。

須賀:はい。

小野井:最初に貴方をガン無視で文代さんとお話をしていたのでドーナツ分は無料で結構です。コーヒー代だけで結構です。

須賀:かしこまりました。
こちら、お願いします。

小野井:確かに頂戴しました。
お釣りです。

須賀:確かに受け取りました。

文代:また母上に伝えておきますね。

“バカはいつでも元気です”って。

小野井:アハハ(またバカにされる…)。

文代:次は母とお邪魔しますね♪

須賀:次は個人でお邪魔させてください。

小野井:須賀さん、文代さん。お二方、またお待ちしております。


N:マスターの相談喫茶、マスターの過去がわかったところで本日は御開きでございます。

マスターの相談喫茶4

マスターの相談喫茶4

マスターの執事喫茶第4弾!制作の関係で第3弾はまた追々。 今回はマスターの過去がわかります。彼の大学時代を少し覗いてみましょう。

  • 小説
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  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-08-01

CC BY
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