最後の日
ノストラダムスもびっくりね
2025年、7月25日。
どうやら、明日で日本は終わるらしい。
そのニュースを見たのは、今からちょうど1ヶ月くらい前の話だ。当てもなくダラダラスマホを見ている最中に、何かのニュースで知ったんだったかな。
『7月5日に大災害?!3.11を予言した…』みたいな通知がきて、それをタップしたのが始まりだった。
概要は読んでないけど、とりあえず分かったのはタイトル通りのことで、予知夢を漫画にしている方が、3.11を予言していて、その方の次の予言が7月5日というわけだ。間違ってたらごめんね。正直そこまで詳しく読んでないんだ。
予言では3.11以上の大地震と、それに伴う津波が来るとされていた。どこまでが尾鰭かわからないけど、日本の3分の1が飲み込まれるらしい。それはもう生き残れないね。
そのニュースを見てから、なんとなくスーパーの水が売り切れている事が多い気がする。全く。迷惑な話だよね。
それから数週間がだったかなぁ…。これまたニュースでさ、海外から日本に来る観光の方々が1%だったか、1割だったか減ったというニュースも見た。これも予言が原因らしかった。
ここ最近、私の身近な人たちも、予言の話をするようになった。中にはすっかり信じ切って憔悴している人もいた。すごい時代ね、本当に。
そして今日は7月4日。予言が正しければ明日の大災害で私の命は無くなってしまう。
それなのにどうだろう。不確定である現実に、時間を割くわけにはいかず、大切な人と過ごすことも、死ぬまでにやりたかったことをこなすわけでもなく、普段と変わらない日常を探してしまった。
明日に向けた準備は何もしていないし、また変わらない明日が来ることを信じて疑わなかった。
目を閉じた
全身が震えている感覚で目を開けた。体を起こすと、全身ではなく部屋全体が震えているのが分かった。
───地震だ。
認識した瞬間、小刻みだった揺れが大規模な横揺れに移行した。
家財が一気に動き出し、台の上に置いてあった全てが床にぶち撒かれ、ディスクの引き出しやキッチンの戸が開いたらしまったりを繰り返す。部屋は一瞬にして小さい子供が玩具箱をひっくり返したような惨状になった。
約20秒後。揺れが静まった。沈黙を破るように窓の外から悲鳴が聞こえ、何かが倒れるような音があちこちから聞こえた始めた。
なんでこんなに落ち着いているんだろうと不思議に思ったが、人はあまりにも非現実的なことが起きた場合、うまく思考できないようになっているのかもしれない。その時私は、とんでもないことになったなぁとか、部屋の片付け面倒だなぁとか、冷蔵庫から滲み出てる液体はなんだろうなぁとか、そういうことを考えていた。
このまま寝てしまおうかと思ってが、部屋が軋むだす音が怖くなって、私は部屋を出た。
街は思った以上に大惨事だった。道路はあちこちがひび割れていて、倒れた電柱が道路を塞いで、少し向こうのほうでは火災が起きていた。
歩ける範囲で数分間歩いていると、後ろから大きな音が聞こえた。振り返ると、私がさっきまでいたアパートが倒壊していた。真ん中からボキッと折れたみたいに崩れて、部屋の一部が剥き出しになっていた。
軋む音を聞いていち早く出て良かったと思った。それと同時に涙が溢れ出した。これは現実なんだ。予言は本当だったんだ。
その時、ポケットの携帯電話が震えていた。
画面をタップすると彼女からだった。
「ねぇ!大丈夫?!」
「私は平気。そっちは大丈夫?」
「うん!!とんでもないことになったけど大丈夫!!」
まずはお互いの安否と、現状を伝え合った。彼女の方も外は阿鼻叫喚で、こちらと同じような状況になっているらしい。
私が家がなくなったと伝えると、彼女も泣き出してしった。無理もない。
「充電、何%ある?」
「70%あるよ」
私も自分のを確認した。まだ77%ある。
「きっと、しばらくの間充電もできないだろうし、電源が切れたからまずいから、なるべく使わないようにしよう?」
「……そうだね。寂しいけど、今はそんなこと言ってられないね」
「こういう時こそ、落ち着いて行動しよ。余震にも備えないとだし。また何かあったら連絡するね」
そこで一度電話を切った。
そこで目が覚める
けたたましいアラームで目が覚めた。
時刻は5時35分。設定したアラーム通り。まだ覚醒し切っていない脳のまま、天井をぼんやりと眺めながら、何事も無かったと胸を撫で下ろす。
今日からまた5連勤。しっかり頑張って稼がないと。
最後の日
7/5は夢を見た日で、7月中は警戒していた方がいいっていうのがネットの見解らしいわね。
南海トラフはこの30年内に来る可能性が高いらしいから、防災意識高めて起きましょうね。