『ジューンブライド』

永遠の幸福に絶望した日
君が見てるのはアタシじゃなかった


『ジューンブライド』


それを知ったとして今更
どうしようも無いから静観
沈黙を続ければ幸福は
脅かされず穏やかに過ごせる

同じことを君も考えてるなんて
とっくに気づいていても
微笑みを絶やさず朗らかに
お互い波風立てず過ごしましょう

君が何かを言いアタシは頷く
それだけでこの平穏は守られる
心の中では嵐が吹き荒れていても
見せかけの穏やかさを守りたい

過ぎ去って思い返せば
平坦で在り来りな日々だったと
遠く気持ちの離れた君と
思い出せたなら全て報われる

アタシの心を奪うあの姿ではなく
君の後ろを歩く意味なんてそれだけ
誰より憎くて誰より愛しいなんて
そんな激しさは毒にもなり得るから

今この瞬間も心だけは明け渡さず
アタシは全て飲み込むの
広いベッドで孤独と孤独を
一切馴れ合うことなく眠るだけ



「寝室には黄色のカサブランカ」

『ジューンブライド』

『ジューンブライド』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-11

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted