『その日だけ雨が降らなかった』
別れは雨の日がいいと
二人とも言ってたのに
『その日だけ雨が降らなかった』
違う道を行くだけだよ
別に寂しくないし永遠じゃない
口ではそう言いながら
確かに訪れる最後を感じてた
教室のドアを勢いよく開ける音
気まずそうに目を逸らす振り
小さくなった制服を恥じる様
その全てを覚えているから
本音を言えば寂しくはない
こんな中途半端な時期なのが
ちょっとだけ悔しいけど
最初から決まってた終りが来ただけ
アタシと君には大きな変え難い
絶対的で不変の違いがあって
それを埋めるのは出会いから諦めた
だってその違いこそに惹かれたから
卒業から5年も続いたことさえ
奇跡的だったと今になって思う
素知らぬ顔で君はいつでもアタシを
上の位置から見下ろすのを好んだでしょ
アタシがもう少し盲目的で
無抵抗だったならよかったの?
小さな棘で君を傷つけないような
それかいっそ君を見下せたなら
君は君を辞められないし
アタシはアタシを信じたい
だから必然の別れでしかないの
6月の晴れの日に君の涙一雫
じゃあねと手を振ったアタシの
滑らかな頬は濡れない
いつか言ったでしょう
アタシって非情なとこがあるの
「ひとりになれば泣いてしまうだろうけど」
『その日だけ雨が降らなかった』