らくがき

Take a Photo

弱いから 目に見えてないと不安で
触れないもの 形にしたくて
俺は写真を撮った

写真の中で永遠に続く
素敵なことだと思わないか

シャッターを切って
触れないもの 手に入れたら
あとは 色をなくすまで太陽の下で笑う

生きるってことじゃないだろうか

ブルーパレス

君の憂鬱に数字をつけて
僕の脳に住まわせる

君の憂鬱に名前をつけて
餌を与えて 肥らせる

ドアを叩けば蘇る あの時のこと
ドアを叩けば応えてくれた
あの 泣きそうな声で

君の憂鬱に名前をつけて
僕のペットにしてしまおう

休日は家から一歩も出ないで
君のことをかわいがろう

僕の脳に住み着いて
ずっとここにいればいい

夢の続き

今日も帰って 夢の続きを見よう

昨日の夢は 今朝終わったから

夢は 眠って 見よう
きっと 答えは そこにあるだろう

今だけ この瞬間だけ
忘れるなんて そんなの無理だ

頭の片隅を 侵し続けてる
あなたの顔が 濡れたままでいるから

今日の夢は 明日には終わる

明るい世界に
夢の代わりは 落ちてないから

夢は 眠って 見よう
目を 閉じて 見よう

支柱

始まらないまま 終わっていく
そんな日々なら 捨ててもいい
君に この身を 捧げてもいい

3月の終わりと 儚すぎる7日間の始まり
毎週末には燃え尽きる
そんな夢なら 蹴散らして

形ないものに 届かない手なら
抱きしめられないというなら
この身を 石にされてもいい
打ち砕かれるとしても 君と行こう

見つめ合わなくていい
君が見ている景色を見る

ただ そこに立っている
美しい蔦の絡まる柱
生も死もない
心は必要不可欠じゃない
けれど 少しだけ笑っていた

美しい蔦の絡まる柱
いつかすべては埋め尽くされて
二度と光を浴びることがなくても
僕はそこに立っている

知らない

はたから見る私ってどんな感じ?
「誰かをなくす痛みなんて知らない」
知りたくもないって顔してる

全身の中古品は毎日の自己表現
三年目の下着は永い夜の終わりを求めてる

今 私の心が強く動いたこと
誰も知らない

少年ような人 くん付けで呼んで
ちゃん付けで呼ばれたなら 死んでもいい

男も女もないようなあの人
考えたくもない"未来"とやらに
居てほしい

手を振る 笑いかける 泣いて見せる
あなたのこと 別に大切じゃないけどね

はたから見る私ってどんな感じ?
私も知らない 私なんて

少しでも好きならちょうだい
あなたの中の私

水槽

感情が抜け落ちる
水槽は蜜で満ちている
硝子越しの憧憬に怯えている
君の震える肩を抱いた

明日の秩序に背くなら
生活を演じる必要なんてない
孤独な日々を 口移しで
互いの身体に閉じ込めるんだ

過去は文字通り過ぎ去った事
喪失に慣れた振りの乾いた顔
朝が来るのは もうずっと
そう ずうっと先

感情が抜け落ちる
水槽はまだ満ちている
使い古しの辞書には無い
そんな言葉 探したけれど
「綺麗な名前」だなんてさ
見え透いたことを言っていた
あんまり眩しすぎる人には
嫉妬する気力も湧かないね
「かわいそう」だなんてさ
誰に対して言ってるんだろ
視線に踏まれて こんなに濡らして
呆れてものも言えないよ

感情をすり抜ける
感覚が水槽を満たしてる
嫌なことばかり頭に浮かぶの?
思い出の全てを傷に変えるの?
悲観に疑う余地が無い
そんな君の眼壊したいよ
泣いてもいいよ やめないから
次は僕に寄りかかって
鼓動を確かめさせてくれ

記憶の中にありふれてる味を
全て二人だけのものにしたら
他の誰かと何気ない午後過ごしたとしても
あの渇きに苛まれることだろう
なけなしの理性すらとろとろに溶かし
口移しで 互いを互いに閉じ込めるんだ

水槽は蜜で満ちている
僕はまだ息をしている
硝子の中で眠っている
君の耳元でそっと囁く

明日が来るのは もうずっと
そうずっと ずうっと先

それでいい

憂鬱な週末

助手席のあのこが微笑む
トランクのあいつと目が合う
幽霊みたいに冷たいキス
ゆらゆら揺れて
今 僕はなんの感情もない

誰もいないはずのキッチンから物音
夜の一歩手前というところで目を覚ます
みんな 僕の知らない話をする
別段 焦りというものも感じない

味覚 聴覚 踊らせて
しかし逃れられないときもある

思考の渦を 思考で埋めて
一粒 二粒 チョコレート

粉末を溶かして 悲しみのない世界
知らぬ間に僕はカフェイン中毒?

あのこの肩にあたまをあずける
カーテンの裏が気になる
朝の一歩手前というところで
幽霊みたいな冷たいキス
いつの間に 僕たちは裸?

らくがき

らくがき

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2025-05-19

Copyrighted
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  1. Take a Photo
  2. ブルーパレス
  3. 夢の続き
  4. 支柱
  5. 知らない
  6. 水槽
  7. 憂鬱な週末