『幻惑』

次の誕生日には一緒に住んで
家でお祝いしようと笑った顔


『幻惑』


指の隙間から零れ落ちる砂みたい
貴方の言葉がサラサラと
とめどなく流れてゆくの
どこに嘘があったかなら全て

真実なんてひとつも無くて
見せかけの美しさで取り繕った
あの笑顔も今ではただ醜い
どう誤魔化してもそれが事実よ

ボロボロになった恋心は
足蹴にして踏み躙ったわ
先に踏み躙ったのは貴方なんだから
長引いた分お釣りがあってもいいくらい

確かに最初は憎んだけれど
今ではもう無関心に近いから
できるだけアタシに得があるように
立ち回ろうと心がけるだけ

それでも未だお零れを狙うような
貴方の白々しい態度にはうんざり
馬鹿にするのも程々にしないと
いつか決定的な痛手を負うはずよ



「痛手を負わせる誰かには同情するわ」

『幻惑』

『幻惑』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-05-06

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