瞼の裏の天鵞絨の夢

たこ

いとひき
いとひき
いとしき たこよ
いとをひくほど
とおくへいくの

リキッド

私はきっとリキッド
バスタブの中で溶ける
どんな形にでもなれる
どんな形にもなれない
私は人生の水路を流れる
煌めき捻れ、瞬きながら
掬う手に触れるのは私の——

白い巨人

白い巨人が
私の上に屈みこんで
その揺らめくオーロラが
私の視界を塞いだ時
その内で暗闇が立ち昇り
私はやっと眠りにつける
静寂の子守唄が耳を塞ぎ
のっぺらぼうの顔が溶けていく
そして、私はお前の正体を知るの

回廊

永遠に引き延ばされた回廊が
扉を開いて待っている
白い大理石の柱
足に冷たい夜光貝
響き渡るは宇宙の吐息
風は過去から吹いている

瞼の裏の天鵞絨の夢

瞼の裏の天鵞絨の夢

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-02-20

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  1. たこ
  2. リキッド
  3. 白い巨人
  4. 回廊